そのワンコと出会ったのは、武蔵野の小道を歩いていたとき。
茶色をしたワンコは、私を横目でみて、後ろ足をぴぃーんと蹴った。
次の瞬間、さっとその場を去った。
二回目にあったのは、ワンコの自宅。
ガレージの門扉の前で、だまって佇む。
黙って背中を触ると、じっと我慢して撫でさせてくれる。
後にこのワンコの名前は「チビ」と知った。
小道を通る度、私は「ちぃたんはいるかな」と門扉をのぞき込んだものだ。
そのうち飼い主さんと仲良くなってガレージの中に入ることが出来た。
ちぃたんの家はお花や盆栽、葡萄のつたであふれかえる緑豊かな空間だった。
そこで夫婦ふたりとチビで仲良く暮らしていたのだ。
ときに甘え、人間を慰め、みんなの心を豊かにするちぃたん。
本当に心のきれいな子だった。
精神的に参っていた私にちぃたんはやさしく寄り添ってくれ
一緒に散歩してくれた。
配偶者のSさんとも仲良く一緒に歩いた。
季節毎に公園に遊びに行き
夏は涼を取るため床底にもぐり
笹をたべて腸の健康を保ち
おやつをあげると、ぐぃっと身体を寄せてきた。
ちぃたんといるとすべてが楽しく、笑顔が溢れた。
ぱんぴぃも一度会ったことがある。
おにぃちゃんワンコとして、いろいろ教えてくれた。
おやつも仲良く「待て」をして食べた。
それまで犬に縁の無かった私に、犬といる豊かさを教えてくれたちぃたん。
泣いて落ち込む私に黙って寄り添ってくれたちぃたん。
本当に本当に心からお世話になった。
あなたが私にくれた優しさ、慈しみの心、温もり、全部全部忘れません。
貴方に会えて本当に良かった。
どうぞ安らかに眠って下さい。
本当にありがとうございました。
2013年11月25日早朝 永眠 (享年 16歳)