高圧鉄塔の側は安全か?数値から影響を考察する。
都会では地中に埋められていて気にならない高圧電線。田舎に行くと鉄塔があちこち
にあり、「ココは住んでも安全なのかしら?」と思うこともしばしば。
ということで磁束密度を測ることにしました。
■前知識
WHO(世界保険機構)は、24時間絶えることなく電磁波が出る環境で暮らした場合、
0.3-0.4μT(マイクロテスラ)で小児白血病の発症率が2倍になると発表しています。
一般の電磁調理器や携帯電話は一過的な電磁波なので、10μTほどの大きな
値であっても影響は少ないです。
海外では3μTを超える場所では、幼稚園、小学校を作ってはいけない規制を
強いているところがあります。
■測定対象に関する情報
今回の高圧線は66KV。地上から約12mの高さに電線が走っています。
測定器はVISCAS製MAGNETIC FILED METER(平成23年に校正済み)
測定はXYZの合成ベクトルのスカラー値を表示。
RMS即ち実行値(ピークを1.414で割った値)。
測定時間 真夏の昼間14:00-16:00
→エアコンの使用ピーク時間。電磁波の値は年間を通して最大と推測される。
測定箇所(11カ所)
■測定結果
測定箇所番号 電線からの距離 測定値(μT)
① 1Km以上 0.04-0.06
② 12m(電線真下) 1.52
③ 100m 0.11-0.13
④ 12m(電線真下) 0.80-0.85
⑤ 200m 0.04-0.05
⑥ 300m 0.04-0.05
⑦ 350m 0.25-0.26
⑧ 500m 0.12-0.14
⑨ 300m 0.04
⑩ 40m(高台) 0.10-0.11
⑪ 450m 0.04-0.05
ちなみに6月(消費電力少)に高圧電線の真下で測定した値は0.2-0.3μTだったそうな。
■考察
ここで⑦の値が距離の割に異常に高いことの理由を探した。
⑦の近くにはこのような電柱があった。
グレーの線は電線で継ぎ目であるガイシの部分で電気のシールドが一部露出し
電磁波が出てきたと推測される。
この電柱から2m離れると値が0.1μT減少した。
ちなみにこれが普通の電柱 ↓
結論として、高圧電線から100m以上離れれば、0.2μTを下回る電磁波のため安全
かと思われる。
また電柱から漏れる電磁波は思ったより影響が大きいことが分かった。
ご自宅の電磁波の値を知りたい場合は管轄の電力会社に電話すれば、人と装置を
派遣してくれます。
私は東京電力さん協力の下、この測定をしました。
暑かった~。
ご協力くださった社員の方、炎天下の中ご苦労様でした。
以上KOMAのなんでも知りたがりのコーナーでした(笑)。
♡おまけ
方位磁石を持っていって、電線の真下に立つと、いつまでも針が揺れています。
これは地磁気と高圧電線が発生する磁界が干渉しているからです。
電子銃をつかったブラウン管のテレビはローレンツ力により電子の軌道が歪められる
為、高圧線直下では映像が乱れます。